闇もどき部屋へようこそ
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キャミソールだけを身に纏ったエリカはベッドの横に足を組んで座り、煙草をふかすと言った。
「連絡なしで来るのはルール違反じゃない?」
アスランはモヤモヤする気分を拭い去るためにか、部屋に入るなり挨拶もなしに早々とシャワーを浴びた。シャワーから出れば、バスローブが置いてる棚へ迷うことなく手を伸ばし、それを身に着けた。そして、キッチンへ向かい冷蔵庫から缶ビールを取りだすと、キッチンの棚に置いてあるグラスを持って、リビングにあるソファに座ったーー。
「聞いてるの?」
アスランは何も答えず
ちなみにベッドが置いてある所(部屋)とリビングは繋がった仕様。所謂ワンルーム。だが仕切りとなる扉はあるので閉じれば一つの部屋として独立する1LDKとなる。
エリカは呆れた顔を見せると指に挟んだ煙草を吸った。少し間を空けてから再度話しかけた。
「それで何かあったの?」
「別になにもない」
「そんな不機嫌な顔をして何もないってことはないでしょう。あったからここへ来たんでしょう。仕事でトラブルでもあったの?」
「ない」
エリカはアスランの性格からしてこれ以上問いただしたところで何も話さないだろうと悟った。
「‥‥そうならいいわ。だったら楽しみましょう、折角来たんだから‥‥。私最近欲求不満なの、だからアスランのテクニックで満足させてよね」
「──ぶっふ・・・・・」
エリカの意気込みに圧されてか、アスランは蒸せった。
「‥‥エリカは飲みに出かけてないのか?」
「ーー声をかけてくる男には飽きたの。今はその時間をスキルアップの勉強にあててるわ」
「へえーー真面目に頑張っているんだな」
「そうよ。けど不意に欲しくなるのよね~。身体を満たすものが‥‥」
アスランは薄く笑った。
エリカは煙草をサイドテーブルの上にある灰皿に押し付けて、アスランを見つめる。
エリカは妖艶な笑みを浮かべアスランを熱い瞳で見つめた。
アスランはグラスのワインを一口口に含むとグラスをサイドテーブルに置いた。そして、エリカに口移しで飲ませた。
唇を重ねながらエリカの手はアスランのバスローブの前をはだけさせ、首に両腕を絡めた。
アスランはバスローブを脱捨てるとエリカに誘われるままベッドに沈んだ。静寂な部屋の中は二人の息遣いと、ギシギシと揺れるベッドの音だけが響いた。
**
時計の針は0時を回っていた。
アスランは組んだ両手に頭をのせて天井を見つめていた。
「私どれぐらい気を失ってた?」
アスランの横で目を覚ましたエリカが問いかけた。
「‥‥覚えてない」
相変わらず素っ気ない態度にエリカは苦笑いを浮かべた。‥‥ホント無関心な男ね。
話しかけられたくないのだろう、アスランはエリカに背を向けた。
ーーまだ機嫌が直らないようね。そうわかっていながらも聞きたいことがあった。
「‥‥‥‥」
「お嬢様方から私に問い合わせの連絡が入ったの。アスランと連絡が取れないって、どこへ行けば会えるかって。ーーここにも顔をださなかったし。2か月もーー」
「‥‥‥‥」
エリカは何も答えないアスランに小さく笑みを浮かべると唐突に言った。
「ーー行き付けの店のママから内緒でこそっと教えてもらったわ。やりすぎて突然‥‥」
そう言うとアスランの耳元へ顔を寄せて小声言った。『‥‥イ〇ポになったって』
「‥‥‥‥はあ!?」
「ーーだから夜はお家でおとなしくしていたんでしょう。治ってよかったわね。うふふ‥‥だからもう一度試してみない?」
そう言ってエリカはアスランの背中にキスをすると手をアスランの太ももへ、そして、なぞりながら雄に滑らせ触れた。だがその直後アスランは突然起き上がった。
「どうしたの?」
「帰る」
「えっ?まだいいじゃない。あそこ(雄)は私が口で生き返らせてあげるわよ」
だかアスランはベッドから降りてシャワーを浴びに行ってしまった。そして、身支度を整えるとエリカのところへ顔を出した。
それに気づいたエリカは身体を起こした。
「やっぱり帰るのね」
「やり残した仕事をやろうと思ってな」
「私も何か手伝うことある?」
「いや、いい」
「そう、分かったわ。気を付けて」
そう言うと、エリカはアスランに背を向けて身体をベッドに沈めて横になった。そして、少し経ってから玄関のドアが閉まる音がした。
今日は朝まで一緒にいるかと思ったけど、やっぱり逃げられちゃったかーー。
ピルを飲むから大丈夫っで言っても避妊具をつけるし、中では絶対に出さないし、そういうところは抜かりがないのよね。要するに私も他の女性と同じ、信用されてないってことなのよね。まあ仕事に関しては信じてもらえてるようだけどーー。
今日のアスラン、嫌なことを忘れるために激しく私を抱いたって感じだったのよね。そう心ここにあらずって感じだったわ。ーーもしかして誰か気になるお嬢さんでも見つけたのかしらん?
エリカはベッドから身体を起こし、キャミソールを着ると、ベッドから降りてキッチンに足を向けた。
ーーえっ!?流しの横の水切り台のところを見て驚いた顔を見せた。それは使ったグラスが洗って置いてあったからだ。
ーーアスランが?一体どうしちゃったの?自分で食器を洗うなんて信じられないわ。それも私が使ったグラスまでも洗ってあるじゃない。
エリカは信じがたいものを見たような顔をして、小さく息を吐いた。
冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出すと手に持ったまま、窓辺へと近寄り、腰を下ろした。そして、プルタブを開けると口にして夜景を見ながら呟いた。
「ーーこの夜景ともそろそろお別れかもしれないわね」
ーー私がキャバクラで働いていたと知ったらどう思うのだろう?カガリは溜め息しか出なかった。
0時になってもアスランは帰って来なかった。アスランからは0時を過ぎたら待たずに寝ろと言われていたが、カガリはもう少し、もう少しと言いながら、待っていた。そうしているうちに時計の針は1時になろうとしていた。一目会いたかったが諦めて寝ることにした。
** 新作おまけ(補足) **
アスランは大学を卒業して自社ではなくその傘下にある会社に入社した。そこで実績を積み上げ三年後に本社(自社)へ異動となり副社長となった。だから今住んでいるマンションは前の会社からは近かったが、異動となった本社の場所からは遠くなった。
そこで本社から近い場所へ引っ越そうとマンションを探していた。そして、会社から程よい距離に建つタワーマンション(賃貸)を見つけそこに決めた。偶然空きが出たところだった。
向こうのマンションから持ってくる物は服ぐらいで、後は全て新しいものを購入して揃えることにした。向こうにある物は業者に頼んで引き取ってもらう流れだった。
ーーとある休日。
新しいベッドなど生活に必要なものは漸く揃った。疲れたとベッドで横になり休んでいれば、アスランの秘書から連絡が入った。ーー至急目を通して欲しい書類があると言うことだった。だから秘書にこのマンションの場所を教えて、その書類を持って来るように伝えた。
秘書の名前はエリカ・シモンズ。34才。アスラン直属の秘書だ。周りに気配りが出来て、皆に慕われ信頼される人柄。仕事もテキパキとこなし知性を持ち合わせた美人のキャリアウーマン。ちなみにプロポーションはナイスバディーだ。
**
書類に目を通したアスランは、待っているエリカに、後はこっちでやるから、帰ってもいいと伝えた。
窓から外を眺めていたエリカが何気なしに言った。
「ーー私も会社の近くでマンションを探しているの。この辺りは最高よね。色々揃っているし、交通の便もいいわ。だから中々空きが見つからないのよね。あったとしてもとても支払える家賃じゃないし。‥‥私も一緒に住んじゃおうかしらん?」
どう捉えるかは副社長しだい、エリカはなんて答えるかアスランを見つめた。
アスランは少し考える素振りを見せた。
「‥‥そうだな。身体の相性しだいだな」
「それならOKよ」
自信ありげに言うエリカにアスランは小さく笑った。
「けど一緒に住むのはちょっと遠慮しておく」
「あらどうして?」
「同じ部屋に人が居ると気が休まらない」
「(くすっ)正直ね」
「じゃ俺は向こうのマンションに戻るか」
「本当にいいの?」
「試して相性がよかったらの話だーー」
そして、ここから二人の関係が始まったーー。
エリカは住んでいたマンションを友達に貸して、自分はセカンドハウスとして居心地がよいこのタワーマンションに生活の場を移した。
ちなみに二人が初めて知り合ったのはアスランが入社した会社だった。そこの社長の秘書だったエリカは社長にアスランを紹介された。ザラ財閥の御子息だと。それから三年後本社へ異動になったアスランは優秀なエリカを本社へ、そして自分の秘書とした。
2023年5月5日 修正済