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secret crescent

闇もどき部屋へようこそ

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新連載小説「素直になれなくて」4話

1~3話は表のサイトで公開しています。


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アスランの住んでいるマンションに驚いた。どう見ても家賃がそれなりに高いだろうと私が見てもわかるほどだった。そして、部屋に入れば整った部屋と言えば聞こえはいいが、全く生活感が見えなかった。だからか、リビングの真ん中に置かれているソファがとてつもなく高級な物に見えた。

カガリは唖然とする。

アスランは立ち尽くすカガリを見て、改めて自己紹介をした。

勤める会社名がザフトコーポレーション。そして、そこの副社長。ザラ財閥家の御曹司だと言うことを知った。

 

その会社がどれほどの大企業かぐらいは私でも知っていた。それは同じ職場の女子が雑誌を見ながら黄色い声を上げてよく騒いでいたからだ。自然と会社名が耳に入ってきた。
自分には無縁の世界の人だと全く興味を抱かなかった。しかし、今まさにその相手が目の前に居る。

唯々カガリは驚くしかなかった。ちなみにアスランの父が会長と言う話だ。

 

アスランは突っ立っているカガリに問う。

 

「副社長と聞いて婚約破棄したこと後悔した?」

 

さっきまでとは違いどこか冷たい笑みを浮かべてカガリを見つめる。

 

カガリは人を蔑(さげす)んだ口ぶりに、腹が立ったがここは我慢した。

 

「部屋はその角のゲストルームを使えばいいから」

「あっ、ありがとう」

「もう元気になったか?」

「うん。大丈夫だ」

「そうか。そうでないと面白くないからな」

 

カガリはアスランが呟いた意味がよくわからなかったが、首を少し傾け苦笑いを浮かべた。

 

歩道橋で声を掛けて助けてくれた人と同じ人物だろうか、と言うぐらいどこか豹変した感じがした。しかし、今夜寝られる場所を与えてくれるのだから悪い人ではないと思った。

 

 シャワーを貸してくれると言うので、有り難く借りることにした。


素直なのか、単純なのか、全く疑うことをしないカガリだった。

 

服を脱ぎ、シャワールームのドアに手を掛け押したとき、なぜかアスランがのうのうとした顔で入ってきた。

カガリは驚きフリーズする。

そんなカガリを余所に、アスランも上着を脱ぎ捨てた。

 

「#$%&・・・・・・・・!!!」

 

狼狽しテンパるカガリは、声にならない声を上げ慌てふためいた。

 

「なっ、なななな何しているんだ!!」

 

どうにか声を絞り出し怒鳴った。カガリはこの状況が理解出来ずパニック状態に陥った。

 

「俺も一緒に浴びることにした。シャワールームでやるのも悪くないと思ってな」

 

悪びれた様子もなく平然と言うアスランに、カガリの頭の中は疑問符で一杯になった。

 

「はあ???????」

 

アスランは人を舐めたように見下し、薄笑いを浮かべた。

 

「ほんの僅かな間とは言え、取りあえず元婚約者だったから、声を掛けたが……」

「・・・・・・・・・」

「ただの親切な元婚約者とでも思っていたのか?」

「なっ!?」

「元婚約者と言うだけで信じて、のこのこ付いてくる方が可笑しいだろう?子供でもあるまいし」

 

カガリは睨むだけで、悔しいが言い返せなかった。

 

「それとも本当は俺のこと調べて知っていた?」

 

嘲笑うかのようにカガリを見つめ、悪戯にカガリの髪に手を伸ばし、金色の髪をすくい上げ、指で戯れる仕草を見せる。

 

アスランの言っている意味は解らないが、人を馬鹿にしたその余裕な態度に腹が立った。

 

カガリは怯みそうになるが虚勢を張って睨んだ。

 

「君を助けたから今日の相手を帰す羽目になった。だから君が代わりに一晩付き合うのが礼儀じゃないのか?」

 

そう言って、じりじりと迫る。

カガリは逃げ場がない。

 

「・・・・・・礼儀って。しっ、知るか!!」

「冷たいな。それとも態と焦らしているわけ?」

「かっ、彼氏だっているんだからな!」

 

 

アスランの不気味な笑が零れる。

 

カガリは下と胸を手で隠していた。しかし、それは何の抵抗にもならなかった。


隠すカガリの手は、アスランにいとも簡単に取り退かされ、そのまま壁に押しつけられた。

アスランの前に曝け出す二つの乳房。白い乳房はピンクの蕾を引き立てる。
アスランは吸い寄せられるように顔を寄せ、ピンクに色づく蕾の回りを舌先で舐め、そのまま口に含み蕾を舌で転がし愛撫した。もう片方の乳房は、押さえていたカガリの腕から離して、柔らかさを味わいながら戯れだした。

 

「やあああっ、やあっ!!」

 

カガリは自由になった手でアスランの肩を押しのけようとするがびくともしなかった。

アスランは嫌だと声を張り上げるカガリに、煩そうに顔を顰める。そして、蕾から口を離して言う。

 

「──煩い女だ。彼氏には黙っていればいいだけだろう」

「おっ、おまえって最低な人間だな!」

 

そう言いながら、睨むカガリの瞳から堪えきれなくなった涙が溢れ出し頬を伝った。

 

アスランの口元には冷めた笑みを浮かべ、翡翠の瞳は冷酷さを滲ませ真っ直ぐカガリを映した。

 

「よく言えるよな。君だって嫌だと言いながら、本当は抱いて欲しいのだろう。俺がザフトコーポレーションの副社長と知った女なんて皆同じだ。直ぐに足を開く」

 

カガリの怒りの拳がアスランの頬を直撃した。

アスランは背後に少しバランスを崩した。余りにも予想外のことで驚き呆気に取られた。それも平手ではなく拳だ。平手ならまだしも女にグーで殴られた事は今まで一度もない。それも思い切りだ。

 

カガリは服を拾い上げ、パウダールームから出ていった。そして、寝床に使っていいと言われた部屋へ駆け込み、無駄な努力かもしれないが、ドアが開かないように布団を丸めてドアの前に置いた。

 

服を抱え怒ったカガリの後ろ姿を呆然と見送るアスラン。お尻が丸見えで駈けていく姿に、どこか可笑しいような、でも可愛くも見えた。アスランは殴られた頬に手を添えながら心の中で呟いた。──変な女。そして、自然と笑みが零れクスクスと笑うアスランだった。

 

 

カガリはアスランの傲慢で強引な性格に恐怖を感じた。身の危険を感じたカガリは一睡も出来ず、次の朝を迎えた。

恐る恐るリビングに行けばソファに座るアスランがいた。


「彼氏に連絡が付いたから。お世話になった。ありがとう」

一方的に伝えるとカガリは早急にアスランの元を去った。

アスランの頬が少し赤くなっているような気がしたが、知ったことではない。アスランが悪いのだから。



修正済 2023、3、7


 



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